Wikipedia「ビール」によれば、ビールの主な原料は水、デンプン源(麦芽など)、酵母、香味料(ホップなど)だそうだ。 また、なぜ大麦の麦芽を使うかと言うと、発芽の際に澱粉を糖化する酵素が、効率良く働いてくれる為である。(こうして作られた糖分は、現在も「麦芽水飴」として売られている)するとつまり、甘い物が少なかった昔は麦芽を使わざるを得なかったものの、化学が進歩した昨今では、糖分として「砂糖」を用意すれば事足りる訳であり、理論上「水+砂糖+酵母+ホップ等」があれば、ビールと思しき飲み物を作ることは可能といえる。(勿論、酒税法に基づきアルコール度数1%以下であることは言うまでもない) 更に、ホップをwikiってみると、「セイヨウカラハナソウ」という名の蔓性植物であり、日本の山野には近縁の「カラハナソウ」があるそうだ。 …そんな知識を抱えて田舎道を歩いていた処、運良く「カラハナソウ」の群生に出くわしたので、思わず我を忘れて収集した後、ふと身体を温める自家製発酵飲料を作れないかと思い立ち、実行に移してみた。(初稿:2016/12/09)
用意するもの
- 水 適宜
- 砂糖 適宜
- 麦茶パック 適宜
- カラハナソウ 適当
- 酵母 程々
- 乳酸菌 若干
実験手順
全て、成人の自己責任で行うことが前提なのはお約束。
1. 採取したカラハナソウを外で陰干しする。
陰干しの際に、よく振ったりひっくり返したりして、小さな虫達を取り除く。 クジャクチョウやキタテハ、シータテハの幼虫が「ハロー、ココハドコカナ?」と言ってくる可能性が高い。その時は問答無用で退出してもらおう。 ちなみにこれがカラハナソウの分解図。黄色の粉に塗れた小さな粒が、苦味と香りを齎している模様。2. カラハナソウを洗う
流水で洗う。小さな生き物が「ミズ、ツメタイネ!」と言って来るかも知れないので注意。3. 鍋で麦茶を作る。
今回は水2リットル、麦茶パック4つと、かなり濃い目にした。4. 麦茶を煮出したら加熱を終了し、カラハナソウを投入
小さな生き物が「アイムソーホット、ソーホット…」とか言ってきたとしてもヌルー。(このネタ分かる人いるかな)5. 冷めたら濾す
数分〜数十分放置し、カラハナエキスが出たと自己判断後、液体を笊で濾す。 その際に小さな生き物の残骸を見かけても見なかったことにするのが賢い生き方である。2017年2月5日追記。 上述の方法で仕込んだ後、カラハナソウを鍋に漬け込んだまま一晩放置したバージョンもトライしてみた。 そして、約2ヶ月後に試飲してみたところ、スッキリした香りに爽やかな苦味の辛口ビール風飲料と化しており、 下手なクラフトビールより旨かったことから、今年はもっとカラハナソウを採取して、滲出時間と味の関係を調べようと思う。
6. 他の材料を投入
40度くらいにまで下がったら、砂糖、酵母、乳酸菌を入れる。 今回は、適当な量の砂糖、ドライイースト小さじ1、ヨーグルト大さじ1を入れた。 雑菌の繁殖を防ぐ目的で乳酸菌を投与するのだが、入れ過ぎると酸っぱくなるので注意。7. 撹拌
泡立て器でよくかき混ぜる。(菜箸でもおk)8. 発酵
炭酸飲料のペットボトルの7分目くらいに詰めた後、常温で10〜20日程度放置。 気温によって発酵状況が異なるので注意。9. 試飲
ちなみに試飲後に車の運転をしてはいけない。
仕込みから10日後に試飲した。 既にペットボトルがパンパンに膨らんでいた。蓋を少しづつ開けないと、中身が吹き出るので注意。 なかなか凶悪な発酵度合いである。 蓋を開けるにつれ、底から酵母が浮き上がり、泡が出てくる。 ホップほどの香りは無いが、適度な苦味があり、ちょっと身体が温まる発酵飲料という結果に終わった。ビールに熱い思い入れがある人には「何だコレは」となるだろうが、下戸で発酵食品にのみ興味がある人にとっては「苦くてシュワシュワして腹が温まる…ちょっとビールみたいな感じ」という味である。消費社会に疑念を抱いたら、試してみるのも“人生の良き思ひ出”になるかもしれない。
2017年4月15日追記。 このような形で作った発酵飲料を飲むと、胃腸の調子が良くなることに気付いた。 恐らく、腸内細菌フローラの構成要素に影響を与えるのではないかと思われるが、科学的根拠に乏しいので、あくまでも個人の感想として記しておく。